大学院で遺伝子の研究をする泉水と、街中の落書き消しの仕事をする春。2歳違いの兄弟である2人は、ある日、父親がガンに侵されていることを知る。一方、街では連続放火事件が起きており、その現場には犯人からのメッセージと思われる落書きが残されていた.。出典: U-NEXT
ライター/ジョセフ
解説/鯉西編集部
#01重力ピエロフル動画無料視聴方法
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#02重力ピエロ作品情報
「重力ピエロ」は2009年の5月23日に劇場公開されている、森淳一監督によるミステリードラマになります。
売れない音楽ユニットのほろ苦い顛末を描いた「アマレット」から、四季の美しさと食の大切さを前後編の2部作で訴えかけた「リトル・フォレスト」まで。
ミュージッククリップの製作からCMディレクターまで、多才な一面を持ち合わせている1967年生まれの映像作家がメガホンを取りました。
新潮社から2003年の4月20日に刊行されている、伊坂幸太郎の第1回本屋大賞ノミネート作品がもとになっています。
原作を大胆にアレンジしたオリジナルのシナリオを書き下ろしたのは、シンガーソングライターとしても活躍している脚本家の相沢友子です。
宮城県仙台市を騒がせている連続放火事件の真相が、少々訳ありなふたりの兄弟の視点から映し出されていきます。
作品データ
上映時間 | 119分 |
製作年 | 2009年 |
製作国 | 日本 |
原題 | - |
配給 | アスミック・エース |
公式サイト | - |
受賞歴
第33回 日本アカデミー賞 2010年 | |
ノミネート | 新人俳優賞 |
#03重力ピエロ予告動画・あらすじ
予告動画
あらすじ
仙台市内の大学で遺伝子研究者への道を目指している奥野泉水には、春という名前の1歳年下の弟がいました。
父・正志は養蜂業を営んでいて、母の梨江子は数年前に交通事故に遭ってこの世にいません。
家を出て独り暮らしをしていた泉水が久しぶりに父に会いに行くと、息子たちの前で自らのガンを打ち明けます。
突然の正志からの告白に戸惑う泉水でしたが、それ以上に気掛かりになっているのがここ最近の春の不可解な行動でした。
春の本当の父親は未成年の時に市内で何件もの性的暴行事件を起こしていて、梨江子も被害者のうちのひとりです。
少年院を出た犯人が仙台に戻っていること、本名は葛城由紀夫、女子高校生をターゲットに違法な事業を立ち上げていてまるで反省していないこと。
葛城の現在の居場所を突き止めた泉水は、家族を守るための計画を練り上げていくのでした。
#04重力ピエロ主題歌・挿入歌
主題歌
#05重力ピエロキャスト・スタッフ
#06重力ピエロ見どころ
正反対の兄弟にふたりの実力派俳優
思慮深く悩み多き兄の奥野泉水を演じているのは加瀬亮、純真無垢で本能の赴くままに行動する弟・春には岡田将生。
まるで正反対のタイプでありながらも成人後も実に仲の良い兄と弟に、それぞれの役者としての個性を存分に発揮して成りきっていました。
ふたりの父親にして過酷な闘病生活にも笑顔を忘れることのない、正志に扮している小日向文世も圧倒的な存在を放っています。
高校の頃から一目惚れした春への一途な気持ちを抱き続けている、夏子の役を務めているのは吉高由里子です。
映画前半ではミステリアスな美人、中盤以降はこじらせ女子へと変貌を遂げていく様子に注目してみると面白いですよ。
物語のカギを握る葛城由紀夫には渡部篤郎のただならぬ風貌がピッタリで、全編を通して汚れ役に徹していました。
仙台の魅力あふれる街並み
本作はせんだい・宮城フィルムコミッションの全面的な協力を得て、仙台の有名スポットでのロケを敢行しています。
若き日の奥野正志と梨江子が自動車の立ち往生で偶然にも巡り合う場所は、蔵王町のスキー場スノーパークです。
雪が降りしきる車内に閉じ込めりたふたりが、サクソフォン奏者のローランド・カークに纏わる逸話で意気投合するワンシーンは必見ですよ。
大学院に進んで研究者の卵として忙しい毎日を送っている泉水ですが、キャンパスライフを謳歌する若者らしい一面も垣間見えました。
実際に東北大学で撮影されていて、2004年に法人化される直前の国立大学としての佇まいが今となっては懐かしいです。
お酒に弱い癖に駅前のバーに入り浸っているのは葛城由紀夫で、ジンジャーエールがとても美味しそうでした。
高層階から夜景を眺望することが出来る絶好のロケーションにあり、窓の下には定禅寺通りが広がっています。
グラフィック・アートの約束事と天才画家の生まれ変わり
泉水や春たちが愛して止まない街・仙台を騒がせているのは、神出鬼没にして正体不明の放火犯ばかりではありません。
歩行者用のトンネルや河原のブロック塀の壁一面に、カラフルなスプレーを吹き付けた絵には奇妙な味わいがあります。
絶対に見つかってはいけない、できるだけ素早く描くこと、自分より上手いグラフィックの上には描いてはいけない。
春が言うにはこの3つの条件が満たされた時に初めて、単なる「落書き」から「グラフィック・アート」へと昇華されるそうです。
そんな春が生まれたのは1971年5月20日で、この日はひとりの偉大なアーティストが亡くなった日でもあります。
これらの日付と「壁画」というキーワードを合わせてみれば、美術館巡りが好きな人であればたちまち答えを導き出すことが出来るでしょう。
#07重力ピエロ感想・評価
対照的な兄と弟
「春が2階から落ちてきた」という詩的なセリフと舞い落ちる桜の花びらが、鮮やかにオープニングを飾ります。
マイケル・ジョーダンのサイン入りバットを片手に不良少年たちを懲らしめた奥野春が、夜の高校の校舎から飛び降りてくる姿が格好良かったです。
ハンサムなルックスと高い身体能力に恵まれている春、対する兄の泉水はメガネをかけた冴えない風貌でスポーツはからっきしながらも頭脳明晰。
ふたりは共に同じ母親から産まれましたが父親はそれぞれ別にいるために、泉水と春は半分しか血が繋がっていません。
いま現在地元を騒がせている放火事件と過去に奥野一家を襲った悲劇が、次第にリンクしていく展開がスリリングでした。
春を追いかける人は夏子
春は高校生の頃から女子生徒たちにとって憧れの的でしたが、彼女たちからの交際の申し出を受けることはありません。
何度となく断られてもアプローチしてくるひとりの女の子に、「夏子さん」とニックネームを付けてしまうのが笑わされました。
勝手に春の自宅にまで上がり込んで料理や洗濯までしてしまう、夏子の厚かましさには呆れ果ててしまいます。
突如として行方をくらませたと思えば全身整形を繰り返した挙げ句に、スタイル抜群の美女に生まれ変わって再登場するシーンが衝撃的です。
春のことは全てにおいて熟知しているという夏子との再会によって、泉水は予想外の事実を聞かされることになります。
燃え盛る炎を挟んで対峙
放火事件の意外な犯人が明かされていく終盤戦と、全ての元凶とも言える葛城由紀夫と春とが対面する場面が圧巻です。
実の父親が亡き母の梨江子からすると加害者であるという、驚愕の事実を知った時の春の苦悩には胸が痛みました。
自分が罪を犯さなければ春が生まれなかったと開き直る葛城に対して、「俺の父親は病院でガンと戦っているあの人」と鮮やかに切り返します。
春と正志が血縁関係を越えるほどの熱い絆で結ばれていることが、このひと言だけで完璧に証明されていて感動的です。
全てを焼き尽くすような激しい業火によって、哀しい過去の思い出と生まれながらの悪漢は灰に還っていきます。
みんなの感想・評価
『重力ピエロ』🎬
— やっすりん (@momoskyswift) October 19, 2020
伊坂幸太郎原作としてはかなり重たい題材かな〜🤔
悲しい過去を持つ家族が、連続放火と
連続落書きの接点を通しながら、家族の絆っていいなと感じるミステリー。
吉高由里子さん演じる謎の女👩が
ワンポイントとして、作品を盛り上げてくれています☺️。 pic.twitter.com/5Ttqt0IXKk
重力ピエロ 観賞
— りんご (@miyuki_2136) November 1, 2020
春が二階から落ちて来た❗で始まる✨切なくも感動的な家族の絆のお話‼️舞台は仙台。連続放火事件の謎を追う兄弟が この事を切っ掛けに 家族にまつわる過去の哀しい出来事に向き合う。事件とは?想像を絶する真実に絶句😩が親子の 兄弟の絆を確かめ合う。岡田将生の名演が光る👍良作💮 pic.twitter.com/kXbU5zuALw
岡田将生さん好きな方にはぜひ、『重力ピエロ』を観て欲しい、、!
— ∠のの🎬 (@nono37marvel) November 14, 2020
すごく優しいけど乱暴で複雑な春の内側をこんなにきれいに演じきれる岡田将生さんは本当に凄い
原作は映像化が難しいと言われてる伊坂幸太郎作品なんですが、この小説は全人類にお勧めしたい😭映画としても綺麗に収束しています!! pic.twitter.com/QY9zqt4H74
#08重力ピエロまとめ
梨江子の遺影の側に置かれた正志の写真によって、闘病の末に彼が亡くなったことが余計な言葉もなく伝わってきました。
父が大好きだった蜜蜂とハチミツを受け継ぐために、泉水と春が試行錯誤を繰り返しているクライマックスには心温まります。
懲りない夏子さんもストーカー行為を再開したようで、庭の物陰をうろちょろしているので見逃さないで下さい。
本作品を締めくくるセリフは冒頭と同じく「春が2階から落ちてきた」ですが、その意味合いを大きく違っていて驚きです。
兄弟仲がいまいち上手くいっていない皆さんや、長らく家族と疎遠になっている方たちにはお薦めな1本だと思います。