名門大学卒業後、うだつの上がらない生活を送る和彦は、銭湯で高校の同級生・百合と出会い、銭湯で働くことに。そして和彦は、その銭湯が深夜に風呂場を人を殺す場所として貸し出していることを知る。さらに同僚の松本が殺し屋であることが明らかになり…。出典: U-NEXT
ライター/ジョセフ
解説/鯉西編集部
#01メランコリックフル動画無料視聴方法
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#02メランコリック作品情報
「メランコリック」は2019年に神宮前プロデュースによって製作されている、サスペンスドラマになります。
第31回の東京国際映画祭では日本映画スプラッシュ部門としてプレミアム上映された後に、アップリンク社の配給によって2019年8月3日に単館上映されました。
アメリカ・カリフォルニア州の大学での映画留学生から、ベンチャーIT企業で動画製作に携わったサラリーマン時代まで。
異色の経歴を持った1987年生まれで福岡県出身の映画作家、田中征爾が劇場長編監督デビューを果たしています。
田中監督とプロデューサーの皆川暢二に、アクション構成作家の磯崎義知の3人で結成した映画製作チーム「One Goose」の第1弾作品です。
第22回の上海国際映画祭ではパノラマ部門に出品された他、ニッポン・コネクションからもヴィジョンズ観客賞が贈られました。
怠惰な暮らしを送っていた青年が、アルバイト先の銭湯で予期せぬ事態へと巻き込まれていく問題作に仕上がっています。
作品データ
上映時間 | 114分 |
製作年 | 2018年 |
製作国 | 日本 |
原題 | - |
配給 | アップリンク 神宮前プロデュース One Goose |
公式サイト | 映画『メランコリック』公式サイト |
#03メランコリック予告動画・あらすじ
予告動画
あらすじ
幼い頃から勉学優秀で東京大学を出た鍋岡和彦でしたが、アルバイトを転々として定職に就くこともありません。
ある日の夜に近所の銭湯「松の湯」でひとっ風呂浴びようとしていた和彦は、高校時代の同級生・副島百合と鉢合わせしました。
百合から誘われるままに面接に行った和彦は、同世代かと思われる松本晃というやたらと饒舌な若者と一緒に採用されます。
この銭湯での日常業務は小寺という名前の中年男性がてきぱきと仕切っていて、オーナーは物静かな初老の男性・東です。
風変わりな同僚たちにちょっぴり困惑しながらも何とか仕事をこなしていた和彦は、ある日の勤務明けに不審な灯りを目撃します。
入り口はしっかりと施錠されているために裏口からこっそりと忍びこんだ和彦は、恐るべき光景を目の当たりにするのでした。
#04メランコリックキャスト・スタッフ
#05メランコリック見どころ
無名の俳優たちの熱量が溢れる
一流大学を卒業しながらもいまいちうだつが上がらない主人公、鍋岡和彦の役を演じているのは皆川暢二です。
ボサボサ頭に野暮ったいメガネをかけた姿には、若かりし頃のダスティン・ホフマンを彷彿とさせるものがありました。
コロンビア大学大学院への進学が決まりながらも迷い続けている、マイク・ニコルズ監督作「卒業」のベンジャミン・ブラドック。
何不自由ない環境に恵まれて日本一の大学を卒業しながらも、一向にモラトリアム感から抜け出すことが出来ない和彦。
時代とバックグラウンドこそ異なりますが、青年期に特有な得たいの知れない憂鬱を体現していて不思議な繋がりを感じませんか?
生ぬるい現実を生きてきた和彦を非日常の世界へと誘っていく案内人、副島百合の役には吉田芽吹が扮していました。
報道リポーターとして数多くの現場を駆け回ってきた羽田真が、オーディションを突破して東オーナー役を勝ち取っています。
ぬるま湯に浸かった抜人々ぬるま湯に浸かった抜人々ぬるま湯に浸かった抜人々ぬるま湯に浸かった抜人々ぬるま湯に浸かった抜人々
東大法学部卒業という輝かしいキャリアを持ちながらも、和彦はなかなか実家暮らしから抜け出すことが出来ません。
新しい勤め先には地元の友だちや学生時代からの仲間が通ってくるために、ついつい居心地の良さに甘えてしまいます。
一歩間違えるとニートや引きこもり予備軍な今時の若者の胸の内が、リアリティーたっぷりに描かれていて共感できるでしょう。
経済的な事情からお店を畳むことも出来ずに、ずるずると悪事に加担してきたオーナーの東の苦悩にも思いを巡らせてしまいます。
和彦の父親はごく普通のサラリーマン・修一、母親もこれといったドラマチックな人生を送ってこなかった主婦・惠子。
モラトリアム気味な和彦に対しても無関心を決めこんでいますが、窮地に追い込まれた息子を救い出すために意外な才能を披露する終盤は必見です。
冷たい銭湯
今の時代に失われつつあるいこいの場所・銭湯と、ドロドロの裏家業とのミスマッチには味わい深いものがあります。
かつては土曜日の夜の定番だった2時間サスペンスものや、コージー・ミステリー小説を始めとする「湯けむり殺人事件」を思い浮かべてしまいますね。
昼間は地元の人たちから愛されている開放的な空間が、夜のとばりが下りるとともに怪しげなムードに早変わりです。
全面タイル張りの浴場の床と蛇口からふんだんに流れるお湯が、凄惨な犯行を跡形もなく消し去ってしまいます。
防音・密室というメリットも整っているために、全てにおいて隠し事には最適な環境なのではないでしょうか。
ロケ地に選ばれているのは千葉県浦安市でいま現在でも営業を続けている「松の湯」で、浴槽の壁にペイントされている将棋の駒が特徴的です。
男湯と女湯の境い目に設置されている富士山のモザイクタイルも見応えがありますので、湯巡りがてらに訪れてみて下さい。
#06メランコリック感想・評価
憧れのあの子との再会にのぼせる
ある日の湯上がりに夜風を浴びていた主人公・鍋岡和彦が、見覚えのある若い女性から声を掛けられることによって幕を開けていきます。
せっかく高校生の頃に憧れていたはずのクラスメートと再会したのに、とっさに名前が出てこないのが焦れったいです。
何とか記憶の引き出しから引っ張り出してきた彼女の名前は副島百合で、ミステリアスな雰囲気を湛えていました。
意味深な微笑みや謎めいた光を宿した眼差しも色っぽく、和彦がなし崩し的にバイトを始めることになるのも致し方ありません。
地獄絵図を巡る
街中が寝静まり深い闇に閉ざされた風呂場で、夜な夜な繰り広げられていく血も凍る惨劇には息を呑んでしまいました。
ボイラー室で湯気を吐く巨大な風呂釜が、ありとあらゆる人間の罪悪を焼き付くすような地獄の業火に思えてしまいます。
当初は恐怖感から小寺や松本たちに従っていた和彦の、時間が経つにつれての微妙な心境の変化が興味深かったです。
余りにも衝撃的な事実を目の当たりにすることによって無感動になっていくようでもあり、大人しく真っ当に見えていた和彦の本性が目覚めていくようでもあります。
2度と戻れない番台の向こうへ
東大卒という学歴では圧倒的に上回っているはずの和彦が、少しずつ松本に嫉妬していく心理描写が卓越しています。
如何なる違法行為にも躊躇うことなく手を染めていく松本を、職人のように仰ぎ見てしまうシーンが圧巻です。
気がついたらふたりの間に芽生え始めていた、友情とも言えない師弟関係とも違う不可思議な絆も心に残ります。
徐々にモラルと倫理観を欠如させていった和彦が、「あちら側の世界」へと踏み入れてしまう瞬間を鮮やかに捉えていました。
みんなの感想・評価
アップリンク渋谷
— 独り日和 (@hitoribiyori02) September 4, 2019
「メランコリック」観賞。
この映画ヤバいですね。
ただただ人を殺す映画です。
でも観終わった後の爽快感が半端ない。
観てない人には意味わからないと思います。
観た人には共感してもらえると思います。
この映画ヤバいですね。#メランコリック pic.twitter.com/deoeO9MsaR
田中征爾による長編映画の初監督作『メランコリック』を鑑賞。この映画…めっちゃ好き。
— 粗茶屋 (@LEON5334) May 26, 2020
心理描写が複雑なキャラクターでありながら徹底した役作りをこなす皆川暢二(プロデューサー/主演)と磯崎義知、劇中の音楽…他にも褒めどころ満載です。
今後の“One Goose”に期待(Ü)#映画好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/1IslQiXsE7
#メランコリック 鑑賞
— ♡ 雨 咲 (@pink____candy) April 26, 2020
ホラー映画かと思って観たので、
あ!そういう話なのね!と思いましたが、違うベクトルで楽しめました🎗
なんといっても
松本がかっこよかったです笑 pic.twitter.com/HdbQoSh8H5
『メランコリック』ジャンル映画を横断しながら一つ一つがドラマとして粒立つ緊密な寄せ木細工。理不尽にまみれた選択を前に不幸の因子が救いとして反転していくスリリング。苛烈な仕事体系や世界の多面性を前に選択を掴み出す彼を応援したくなる。感染力の高さ実直さに映画の未来を夢想させられる良作 pic.twitter.com/QXJJXUZ6MX
— Bellissima (@BellissM) August 4, 2019
仕事の合間ぬって観にいった『メランコリック』という映画がめっちゃくちゃ面白かった!こんな最高の映画がサンダル履きで見に行けるだけで、吉祥寺にアップリンク出来て良かった。 pic.twitter.com/4LjcemEk1Z
— 江口寿史 (@Eguchinn) September 22, 2019
#07メランコリックまとめ
撮影開始からクランクアップまで僅かに10日程度のという、インディーズならではの強硬スケジュールに驚きです。
低予算というハンディキャップも、手作り感が満載なセットと特殊メイクによって見事にカバーされていました。
どぎついスプラッター映像にも臆することなくチャレンジしていき、アクションシーンにも手を抜くことはありません。
ブラックユーモアがふんだんに取り込まれたストーリーの中にも、退屈な日常を抜け出すための鋭いヒントが込められています。
テレビや雑誌で話題のヒット映画や、ありきたりな全国ロードショー作品では物足りないマニアの方は是非ともこの1本をご覧になってください。