30歳の自称売れっ子CMディレクター・砂田は、理解ある優しい夫もいて満ち足りた日々を東京で送っているように見えるが、心は完全にすさみきっていた。ある日、病気の祖母を見舞うため、砂田は天真爛漫な秘密の友達・清浦を連れて大嫌いな故郷に帰ることに。出典: U-NEXT
ライター/ジョセフ
解説/鯉西編集部
#01ブルーアワーにぶっ飛ばすフル動画無料視聴方法
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#02ブルーアワーにぶっ飛ばす作品情報
「ブルーアワーにぶっ飛ばす」は箱田優子監督によって、2019年に製作されているヒューマンドラマです。
日本国内ではビターズ・エンドの配給によって2019年の10月19日に封切られた後に、香港、ドイツ、台北と海外上映されました。
麻生久美子と神木隆之介が姉弟役で共演した「Renta!」や、竹原ピストルがあらゆる世代に向けた応援歌「オーバー・ザ・オーバー」など。
テレビCMからミュージッククリップまでを手掛けている、1982年生まれで茨城県出身のクリエイターが長編劇場デビューを果たしています。
2016年度のTSUTAYA CREATOR’S PROGRAM FILMで審査員特別賞に輝いた、92分のオリジナルシナリオを映像化したものです。
長らく実家から足が遠退いている広告ディレクターが、親友とふたりで気ままな里帰りへと出発する感動作に仕上がっています。
作品データ
上映時間 | 92分 |
製作年 | 2019年 |
製作国 | 日本 |
原題 | - |
配給 | ビターズ・エンド |
公式サイト | 映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』公式サイト |
#03ブルーアワーにぶっ飛ばす予告動画・あらすじ
予告動画
あらすじ
つい最近になって30歳を迎えたばかりの砂田夕佳は、CM業界で映像製作に明け暮れる多忙な日々を送っていました。
結婚後も第一線に立ってキャリアを積んでいくつもりのために、夫の篤との間に子供を作る予定は今のところありません。
近頃では仕事を通じて知り合った広告代理店勤務の冨樫晃との不適切な関係を、お互いに割り切って続けています。
すっかり疎遠になっていた実家に珍しく顔を出してみることにしたのは、幼い頃から大好きだった祖母・ときが余命いくばくも無いからです。
砂田にとっては唯一無二の心の拠り所になっている、清浦あさ美が実家のある茨城県の田舎町まで送り届けてくれます。
自由気ままなドライブの道中で、砂田は故郷への愛憎半ばする思いや自分自身のこれからについて向き合っていくのでした。
#04ブルーアワーにぶっ飛ばす主題歌・挿入歌
主題歌
#05ブルーアワーにぶっ飛ばすキャスト・スタッフ
#06ブルーアワーにぶっ飛ばす見どころ
ふたり合わせて一心同体の名演
終始一貫して仏頂面な異色の主人公、砂田夕佳の役を演じているのは1991年生まれで東京都出身の女優・夏帆です。
今作ではこれまでに培ってきた爽やかなイメージと好感の持てる笑顔を封印して、口汚く罵る毒のある役どころにチャレンジしていました。
砂田の相棒にして何事にも捉われることのない陰のヒロイン、清浦あさ美の役をシム・ウンギョンが好演しています。
松坂桃李とタッグを組んだ衝撃作「新聞記者」では、真実を追い求めていくジャーナリストを熱演していたのが記憶に新しいですね。
国境を越えた同世代の実力派俳優による共演は見ごたえがあって、劇中の息の合った掛け合いも実に楽しげでした。
砂田の父親に当たる浩一役のでんでんや母・俊子役の南果歩に代表されるような、ベテラン勢もしっかりと脇を固めています。
ぶっとんだサウンドの数々
CM撮影のために大物俳優に海援隊の「贈る言葉」を歌わせるという、無理難題を押し付けられた砂田のとっさの機転が痛快です。
仕事終わりに仲間たちと一緒に繰り出した飲み会のカラオケで、大中恩作曲の「犬のおまわりさん」を熱唱するシーンも必見ですよ。
息苦しい現実から脱出するかのように、フィアット・パンダに乗り込んだ砂田と清浦が合唱するのは尾崎豊の「15の夜」です。
本作品のサウンドトラックを手掛けているのは、3人組バンド・鹿の一族のメンバーやシンガーソングライターとしても活躍している松崎ナオです。
「清く、ただしく」が鳴り響くと同時にエンドロールが流れていき、名残惜しいような気持ちが涌いてくるでしょう。
青く光る時間をどこまでも走る
本作品のタイトルにもなっている「ブルーアワー」とは、夜明け前と黄昏時に僅かに空が青く染まる時間のことを差します。
小学生くらいかと思われる砂田が、太陽が昇る前の薄明かりに包まれた草原を全力疾走で駆け抜けていくオープニングが幻想的です。
せっかくの貴重な休日に喫茶店で無為な時間を過ごした砂田は、最近になって購入したという清浦の車を見に行きます。
彼女の愛車はイタリアの老舗メーカー・フィアットが製造する小型のハッチバック・タイプで、車体のメタリックブルーが美しいです。
何気なく左側のドアを開けて助手席に乗り込もうとした砂田は、この自動車が左ハンドル仕様にデザインされていることに気がつきます。
これ以降は清浦が左の運転席でハンドルを握りしめ、砂田が右側の助手席に座っているポジショニングに注目して下さい。
ふたりの別れはヘッドライトが灯り始める夕暮れ時ですが、小さな奇跡が訪れるブルーアワーには驚かされることでしょう。
#07ブルーアワーにぶっ飛ばす感想・評価
都会で枯れ果てていく彼女の心と身体
映画の序盤では砂田が愛人の冨樫と密会している東京都内のラグジュアリーホテルの寝室や、彼女の自宅マンションが映し出されていきます。
清潔感と機能性を重視したスタイリッシュなイメージが漂う場所ばかりですが、どことなく無機質な印象で生活感がありません。
朝早くから仕事に出掛けて真夜中過ぎまで飲み会に参加して朝帰りしても、妻に文句ひとつ溢すことのない篤には感心させられました。
余りにも物分かりが良すぎる過ぎる夫の気を引きたいがために、ついつい毒づいてしまったり奇行を繰り返す砂田がいじらしいです。
職場の同僚たちの前では売れっ子ディレクターの仮面をかぶり続けている砂田の、ギリギリにまで追いこまれている精神状態が伝わってきます。
彼女にとって心の奥底から本音をぶつけ合うことが出来る相手は、「秘密の友だち」という清浦あさ美しかいません。
穏やかな風景と時間に癒される
都内の一般道と高速道路とのジャンクションで、恐る恐るアクセルを踏み込んでいく清浦の姿が印象的でした。
何とか無事に高速に乗って都県境を越えていくと、みるみるうちに高層ビルが消えて田園風景が広がっていきます。
湘南の海辺の町に生まれ育ったと打ち明ける清浦が、山奥にある砂田の故郷へ寄せる並々ならぬ好奇心が微笑ましいです。
石岡市の観光スポットであり日本一大きな獅子舞オブジェ、石岡獅子頭のシュールな佇まいに呆気にとられた様子の清浦には笑わされました。
牛久市では牛久沼河童像の前でふたり揃ってボンヤリと座り込み、豊かな緑に包まれて日頃の疲れをリフレッシュしていきます。
サービスエリアの喧騒やお昼時のイタリアンレストランの店内から聞こえてくる、独特なイントネーションも心地よかったです。
縮んでいく帰郷への葛藤
子供の頃には果てしなく広かったはずの故郷が、大人になって帰ってきた途端に小さく感じてしまう砂田の困惑ぶりには共感できました。
地方ならではのプライバシーの無さや閉塞感に加えて、若者たちの選択肢の少なさや生きづらさも相変わらずです。
骨董品集めに興じる父に引きこもりがちな兄、ワンオペ家事と介護に疲れきった母に認知症の進行が著しい祖母。
自分の居場所を見つけることが出来ずに、地元の息苦しさから逃げるように東京へと帰っていく砂田の後ろ姿が寂しげに映ります。
みんなの感想・評価
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』
— エンバ (@enba_mitsuyoshi) October 12, 2019
コンペで映画界への挑戦権を得たCM界出身箱田優子初監督作品。今年公開の邦画で先行する女子二人ロードムービーと比べ想像以上に何も起こらない帰郷物語だが、夏帆とシム・ウンギョンのコンビは超一級。カッコ悪さも含め自身をここまでさらけ出せる監督も今後飛躍しそう pic.twitter.com/vGlFQ5L4NH
ブルーアワーにぶっ飛ばす
— シネマなぎ (@backtotnenow) November 9, 2019
家族や故郷という自分のルーツと距離をとるって、結局自分自身と距離をとるって事かと 気取らない自分を認め、そんな自分を好きになってもいいんじゃん?って言ってくれてるようで、朝と夜の狭間のブルーアワーみたいに、終わりと始まりを告げる空気感が清々しくて愛しい pic.twitter.com/tJUQWX6MmZ
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』映画館にて163本目。
— EDDIE@Kings1-0👑 (@eddie2yuji) October 13, 2019
仕事に翻弄され日々に嫌気がさし世間とのズレに苦しむ主人公が地元に帰って確固たる自分を取り戻していく。犬みたいな親友役のシム・ウンギョンに終始癒される92分。ラスト物語の全容が明かされた時、途轍もない爽快感に誘われる。 #EDDIE映画2019 pic.twitter.com/VaX2qMyQoV
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』
— ミユキ (@QUuQZs1DKVQfb5q) March 23, 2020
鑑賞中ずっと泣きたいような笑いたいような、切ない気持ちだった
大嫌いな田舎の故郷もダメな自分も受け入れて、ダサくても全速力で生きていく!
夏帆とシム・ウンギョンが最高
脇を固める俳優陣も最高
これは自分の物語だ!と思える作品に出会えたことに感謝。大好き! pic.twitter.com/ywhK0ckLrv
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』
— るそん (@Lecon_3606) October 13, 2019
やさぐれ夏帆とはっちゃけウンギョンのバディ帰郷ムービー。各キャラクターと独特なテンポがクセになる、偏愛度高め!
特に何かが起こるわけじゃないが、ブルーアワーを全力疾走できない、無敵じゃなくなった自分を見つめる姿にグッときた。
伊藤沙莉、最高過ぎかよ…! pic.twitter.com/YOXs9R8KoX
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』
— るそん (@Lecon_3606) October 13, 2019
やさぐれ夏帆とはっちゃけウンギョンのバディ帰郷ムービー。各キャラクターと独特なテンポがクセになる、偏愛度高め!
特に何かが起こるわけじゃないが、ブルーアワーを全力疾走できない、無敵じゃなくなった自分を見つめる姿にグッときた。
伊藤沙莉、最高過ぎかよ…! pic.twitter.com/YOXs9R8KoX
『ブルーアワーにぶっ飛ばす』
— コーディー (@_co_dy) October 12, 2019
30を越え見えない壁に阻まれ何となく閉塞、何となく絶望、更に追い討ちかけるは故郷への笑えない程の嫌悪。引きつる笑顔を引っ提げ日暮れか夜明けかも解らぬダサい自分を彷徨う。そんな砂田を隣で可笑しむ清浦との不思議ド田舎旅が鬱積の根元にやんわり触れる!何か好き pic.twitter.com/CVfZ3tRPPr
シム・ウンギョンちゃんが「新聞記者」とは180度違った顔を見せてくれる「ブルーアワーにぶっ飛ばす」最高に可愛くてお茶目で切なくて素敵なので未見の方は是非観てください
— 🍎貧血ぴちょむ🍎 (@hnkt1995) March 6, 2020
#日本アカデミー賞43 pic.twitter.com/P4DbLdLxNK
#08ブルーアワーにぶっ飛ばすまとめ
惰性的に続けてきたCMディレクターにも愛着がなく然りとて他にやりたいこともなく、ふるさとを愛することが出来ずに東京にも馴染むことが出来ずに。
迷走を繰り返してきた砂田がようやくたどり着いた抜け道と、クライマックスで目の当たりにした僅かな光が清々しいです。
プライベートでも社会人としても人生における重大なターニングポイント迎えている、アラサー女性の皆さんは是非とも見て下さい。